最近では、男性が育児休業を取得するケースも増えてきています。
(とは言え、取得率は全体の数パーセント程度ですが)
しかし、いざ取得したいと思っても、男性の場合は色々と心配なことが出てきますよね。
ここでは私が育児休業を取得した体験を元に、金銭面でおさえておきたいポイントをご紹介したいと思います。

一般的なサラリーマンの方を対象とした内容なので、パートや自営業やフリーランスの方などは状況が異なってくるかと思います。

育児休業の基礎知識

法律で定められた制度

育児休業は、育児・介護休業法という法律によって定められた制度です。
後述の取得条件を満たしている労働者が、取得することができます。

取得条件

ここでは基本的な条件について説明します。
これ以外にも、例外や細かい条件などがありますが、ここでは言及しません。

  • 事業主に1年以上雇用されている
  • 子が1歳に達するまで
  • 書面・FAX・Eメールいずれかで申出を行う

ポイント

取得条件を見ると分かるように、男女の区別はありません。
また、妻が専業主婦であったり、家族に子の世話ができる人がいたりしても取得が可能です。
つまり、基本的に子が産まれた労働者の男性は取得できるということですね。

会社によっては、就業規則などで他に条件が定められている場合もありますので、そこは事前に確認しておきましょう。

育児休暇との違い

ちなみに通常は育休と省略されることが多いですが、法律で定められた制度の名称は育児「休業」です。
育児「休暇」という言葉もありますが、「育児のために取得する休暇全般(有給休暇など)」を指しているという点で異なります。
(以降の説明では育休と省略します)

金銭面の不安

育休を取得しようと考えたとき、まず真っ先に気になるのは金銭面ですよね。
夫婦の両方が育休を取得すると、どうなるのでしょうか?

育休中の賃金

基本的には育休中に、賃金は支払われません。
(会社によっては福利厚生の一環で、手当などが出るケースもあります)

育児休業給付金

賃金が支払われない=収入がゼロになるかというと、実は違います。
以下の条件を満たしていると、育児休業給付金というお金が受け取れます。

  • 雇用保険に加入している
  • 育休開始日の前2年間で、賃金支払い11日以上の月が12ヶ月以上ある
  • 支給期間中に、11日以上働いていない
  • 支給期間中に、支給前の賃金の80%以上が支払われていない

サラリーマンとして勤務しており、育休期間中は働かないことにしている方なら、基本的には満たしていると思います。

支給金額

支給金額は2段階で変わります。
育休開始から

  • 180日まで:賃金の67%
  • 181日以降:賃金の50%

となります。

この金額は手取りではなく、額面の金額を基準として計算されます。
受給できる金額をシミュレーションしてくれるサイトなどもありますので、実際の金額イメージを持ちたい場合は、そちらで確認してみてください。

税金および社会保険料

通常、賃金からは所得税や厚生年金などの税金・社会保険料が引かれます。
一方で、育児休業給付金からは引かれないのです。
助かりますね。

ただし、注意が必要な税金があります。
それは住民税です。

住民税は「前年分を今年に支払う」という仕組みになっています。
つまり育児休業期間でも支払いが発生します。
支払方法については、会社の担当と事前に確認しておいた方が良いです。
(自分で納める、事前に会社にお金を振り込んでおいて納めてもらう、など)

支給タイミング

最も注意が必要なのが、育児休業給付金の支給タイミングです。

厚生労働省のホームページによると「支給決定から1週間程度で口座に入金」とあります。
このとき曲者なのが「支給決定はいつか?」という問題です。

支給を決定するにあたっては、「2ヶ月ごと」にハローワークの審査が入ります。
ここで思い出していただきたいのが、育児休業給付金の取得条件です。

  • 支給期間中に、11日以上働いていない
  • 支給期間中に、支給前の賃金の80%以上が支払われていない

実は、支給「期間中」の労働・賃金状況が、条件に入っているのです。
つまり、支給期間が終わらないと、審査ができないということになります。
なお、審査期間は通常15日程度のようです。

結果として、初回の支給は育休を開始してから、

2ヶ月(支給期間)+15日程度(審査)+1週間(入金待ち)

くらいになるようです。

育児休業開始日の女性との差

女性の場合、出産後の8週間は「産後休業」となり、それが終わると「育児休業」が取得できます。
一方で男性の場合、妻の出産翌日から「育児休業」が取得できます。

女性の産後休業中は「出産手当金」が支給されて、育児休業に入ると育児休業給付金が支給されます。
男性はすぐに育児休業なので、最初から育児休業給付金が支給されるという違いがあるのです。

まとめ

大半のサラリーマン男性は、育休を取得できる条件を満たしています。
育休中は基本的に会社から賃金は支払われませんが、育児休業給付金が受給できます。
しかし、給付金が実際に受け取れるのは、育休を開始してから数ヶ月後です。
そのため、育休に入る前には「数ヶ月分の生活費を用意しておく」必要があります。

個人的な意見ですが、金銭面や仕事面の調整を何とかつけて、男性も育児休業を取得すべきだと思います。
夜は2、3時間おきにミルクをあげて、昼はお世話の合間に掃除や洗濯に食事の準備、上の子がいるならさらに送り迎えを毎日していると、家事・育児を分担しない生活なんて考えられないと思います。

後から思い返すと、新生児の時期はあっという間に過ぎてしまいます。
最中は大変なことばかりですが、自分の子ですから、成長を間近で見ておくことをオススメします。